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1946年7月に行われたビキニ環礁での最初の核実験では、約5,400匹の ラット、ヤギ、 ブタなど多くの動物が実験動物として被ばくした。
実験動物たちは核爆弾の標的となった艦艇に乗せられて、核爆発の爆風と放射線を浴びた。
この実験で動物たちが乗った艦艇をノアの方舟になぞらえて、米国軍はこの動物実験を「核の方舟(Atomic Ark)」と呼んだ。
生き残った「Pig 311」 と 「Goat 315」。ヤギの方は間もなく死ぬことに。
核実験の舞台となったビキニ環礁はハワイとオーストラリアの間に位置する小さな島の集まりで、魚が集まるよい漁場でもあったが、米国による複数回の核実験により地獄と化した。
最初の核実験である1946年7月のクロスロード作戦では、環礁に71隻の艦艇を浮かべられ、攻撃の標的となった。その中には米国が日本から接収した戦艦長門、軽巡洋艦酒匂が含まれていた。
多くの軍人や研究者の他、核爆発で生物が受けるダメージを調査するために、ラットを主とする大量の実験動物がビキニ環礁へと運ばれたのだった。
実験動物の内訳は、ラット:3,030匹、ヤギ:176匹、ブタ:146匹、マウス:109匹、モルモット:57匹で、動物たちは22隻の 標的艦 に乗せられた。
標的艦に設置されたヤギ
爆風や放射線により多くの動物が死んだが、核爆発が直接の原因で死んだのは全動物の35%と意外にも少ない。これは次世代への影響を調査するために全てのラットを致死が予想される海域には配置しなかったことに因る。
デッドゾーンである爆心地付近の海域では多くの動物が即死する中で、『Pig 311』というブタが核爆発後のラグーンで泳いでいるところを発見された。
Pig 311(管理ナンバーが311のブタの意)が乗せられたのは日本海軍の巡洋艦「酒匂」で、このメスのブタはメインデッキのトイレに閉じ込められた。核爆弾は酒匂艦のほぼ真上で爆発したのにも関わらず奇跡の生還を果たしたことで全米で有名になった。
この奇跡のブタはその後、大量に浴びた放射線が引き起こす原爆症からも見事に回復し、丸々と太った姿に成長した。そしてワシントンD.C.の 国立動物園で展示されたのである。
核戦争の恐怖が世界に不安をもたらしていた米ソ冷戦時代、Pig 311は希望のシンボルとして米国で一番有名なブタになった。
ただ、国立動物園で展示されているPig311が、本当に核の爆風を浴びたブタであるかの真相は不明で、政府のプロパガンダとして利用されている感もあったので、奇跡の生還劇は作り話ではないかと疑問視する声もあったという。
核実験から生還したPig311とGoat315
当時の新聞記事。動物実験について伝える。